JIS Q 17025:2018(ISO/IEC 17025:2017) 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項

 

序文

 

この規格は,2017 年に第3 版として発行されたISO/IEC 17025 を基に,技術的内容及び構成を変更することなく作成した日本工業規格である。

この規格は,ラボラトリの運営の信頼性を高めるという目的をもって作成された。

この規格は,ラボラトリが適格な運営を行い,かつ,妥当な結果を出す能力があることを実証できるようにするための要求事項を含んでいる。

この規格に適合するラボラトリは,一般にJIS Q 9001 の原則にも従った運営をすることになる。

この規格は,リスク及び機会に取り組むための処置を計画し,実施することをラボラトリに要求している。リスク及び機会の双方に取り組むことによって,マネジメントシステムの有効性の向上,改善された結果の達成及び好ましくない影響の防止のための基礎が確立される。

ラボラトリは,どのリスク及び機会に取り組む必要があるかを決定する責任をもつ。

この規格の使用は,ラボラトリとその他の機関との間の協力を容易にし,情報及び経験の交換並びに規格及び手順の整合化を支援するであろう。

ラボラトリがこの規格に適合している場合には,国家間での結果の受入れが容易になる。

 

1 適用範囲

 

この規格は,ラボラトリの能力,公平性及び一貫した運営に関する一般要求事項を

規定する。。

この規格は,要員の数に関係なく,ラボラトリ活動を行う全ての組織に適用できる。

ラボラトリの顧客,規制当局,相互評価を使用する組織及びスキーム並びに認定機関及び

その他の組織が,ラボラトリの能力を確認又は承認するに当たってこの規格を使用する。

注記
この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO/IEC 17025:2017,General requirements for the competence of testing and
calibration laboratories

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,“一致している”ことを示す。

 

2 引用規格

 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS Q 17000 適合性評価-用語及び一般原則

注記 対応国際規格:ISO/IEC 17000,Conformity assessment-Vocabulary and
general principles(IDT)

ISO/IEC Guide 99,International vocabulary of metrology-Basic and general concepts and associated terms

(VIM) 1)

注1) JCGM 200 としても知られている。

 

3 用語及び定義

 

この規格で用いる主な用語及び定義は,ISO/IEC Guide 99 及びJIS Q 17000 によるほか,次による。

3.1

公平性(impartiality)

客観性があること。

注記1 客観性とは,利害抵触がないか,又はラボラトリの事後の活動に悪影響を及ぼすことがないよう,利害抵触が解決されていることを意味する。

注記2 公平性の要素を伝えるのに有用なその他の用語には,利害抵触がないこと,偏見がないこと,先入観がないこと,中立,公正,心が広いこと,

公明正大,利害との分離,及び均衡が含まれる。

(出典:JIS Q 17021-1:2015,3.2 の注記1 にある“認証機関”を“ラボラトリ”に置き換え及び“独立性”を注記2 から削除した。)

3.2

苦情(complaint)

ラボラトリの活動又は結果に関し,人又は組織が回答を期待して行う当該ラボラトリへの不満の表明。

(出典:JIS Q 17000:2005 の6.5 を修正。“適合性評価機関又は認定機関”を“ラボラトリ”に置き換えた。また,“結果”を追加し,“異議申立て”を

削除した。)

3.3

試験所間比較(interlaboratory comparison)

事前に定めた条件に従って,二つ以上のラボラトリが,同一品目又は類似品目で行う,測定又は試験の企画,実施及び評価。

(出典:JIS Q 17043:2011 の3.4)

3.4

試験所内比較(intralaboratory comparison)

事前に定めた条件に従って,同一のラボラトリ内で,同一品目又は類似品目で行う,測定又は試験の企画,実施及び評価。

3.5

技能試験(proficiency testing)

試験所間比較による,事前に決めた基準に照らしての参加者のパフォーマンスの評価。

(出典:JIS Q 17043:2011 の3.7 を修正。注記を削除した。)

3.6

ラボラトリ(laboratory)

次の一つ以上の活動を実行する機関。

- 試験

- 校正

- 後の試験又は校正に付随するサンプリング

注記 現在の規格の枠組みにおいて,“ラボラトリ活動”という用語は,上記三つの活動のことをいう。

3.7

判定ルール(decision rule)

特定の要求事項への適合性を表明する際に,測定不確かさをどのように考慮するかを記述した取決め。

3.8

検証(verification)

与えられたアイテムが規定された要求事項を満たしているという客観的証拠の提示。

例1 対象とする任意の標準物質が,当該の量の値及び測定手順に対して,質量10 mg の測定試料まで均質であることの確認。

例2 測定システムが性能特性又は法的要求事項を満たしていることの確認。

例3 目標測定不確かさを満たすことができることの確認。

注記1 適用可能な場合は,測定不確かさを考慮することが望ましい。

注記2 アイテムとは,例えば,プロセス,測定手順,材料,化合物又は測定システムのいずれであってもよい。

注記3 規定された要求事項とは,例えば,製造業者の仕様を満たしていることである。

注記4 VIML 及び一般に適合性評価で定義しているように,法定計量でいう検証は,評価及び表示,及び/又は測定システムに対する検定証明書の

発行を含む。

注記5 検証と校正とを混同しないようにすることが望ましい。全ての検証が妥当性確認であるとは限らない。

注記6 化学の分野では,関連する実在物又は活性の同一性の検証には,その実在物若しくは活性の構造又は性質の記述が必要となる。

(出典:ISO/IEC Guide 99 の2.44)

3.9

妥当性確認(validation)

規定された要求事項が意図した用途に十分であることの検証。

例 水中の窒素の質量濃度の測定に通常用いる測定手順は,ヒトの血清中の窒素の質量濃度の測定に対しても妥当である場合がある。

(出典:ISO/IEC Guide 99 の2.45)

 

4 一般要求事項

 

4.1 公平性

4.1.1 ラボラトリ活動は,公平に実行され,公平性を確保するように編成及び運営される。

4.1.2 ラボラトリマネジメントは,公平性を確約する。

4.1.3 ラボラトリは,ラボラトリ活動の公平性に対して責任をもたなければならず,公平性を損なう商業的,財務的,又はその他の圧力を容認してはならない。

4.1.4 ラボラトリは,公平性に対するリスクを継続的に特定する。ラボラトリの活動若しくは他との関係,又はその要員の他との関係をもつことから生じるリスクもこれに含める。

ただし,そのような関係が,ラボラトリにとって必ずしも公平性に対するリスクになるとは限らない。

注記 ラボラトリの公平性に対する脅威となる関係としては,所有,統治,マネジメント,要員,共有資源,財務,契約,マーケティング

(ブランド設定を含む。),及び新規顧客の紹介に関わる売上手数料の支払い又はその他の誘引条件に基づくものが挙げられる。

4.1.5 公平性に対するリスクが特定された場合,ラボラトリは,そのリスクをどのように排除又は最小化するかを実証できなければならない。

4.2 機密保持

4.2.1 ラボラトリは,法的に強制力のあるコミットメントによって,ラボラトリ活動を実行する過程で得られた又は作成された全ての情報の管理について責任をもつ。

ラボラトリは,公開対象にしようとしている情報を,事前に顧客に通知する。顧客が公開している情報,又はラボラトリと顧客とが合意している場合

(例えば,苦情への対応の目的のため)を除き,その他全ての情報は占有情報とみなし,機密とする。。

4.2.2 ラボラトリが機密情報を公開することを,法律で要求されるか又は契約上の取決めで認められた場合,顧客又は関係する個人は,法律によって禁止されない限り,当該情報の提供について知らされる。

4.2.3 当該顧客以外の情報源(例えば,苦情申立者,規制当局)から得られた顧客に関する情報は,顧客とラボラトリとの間で機密とする。

この情報の提供者(情報源)は,ラボラトリの機密とし,情報源が同意した場合を除き,顧客と共有してはならない。

4.2.4 委員会のメンバー,契約人,外部機関の要員又はラボラトリの代理人として活動する個人は,法律で要求される場合を除き,ラボラトリ活動を遂行する間に得られた,又は生じた全ての情報について機密保持する。

 

5 組織構成に関する要求事項

 

5.1 ラボラトリは,そのラボラトリ活動に法的責任をもつ法人であるか,又は法人の一部として明確に位置付けられている。

注記 この規格の目的において,政府のラボラトリは,政府機関としての地位に基づき法人とみなす。

5.2 ラボラトリは,そのラボラトリについて総合的な責任をもつラボラトリマネジメントを特定する。

5.3 ラボラトリは,この規格に適合するラボラトリ活動の範囲を明確化し,文書化する。

ラボラトリは,継続的に外部から提供されるラボラトリ活動を除いた当該ラボラトリ活動の範囲に関してだけ,この規格への適合を主張する。

5.4 ラボラトリ活動は,この規格,ラボラトリの顧客,規制当局及び認可を与える機関の要求事項を満足するように実施される。

このことには,その全ての恒久的施設で実施されるラボラトリ活動,その恒久的施設から離れた場所で実施されるラボラトリ活動,関連する一時施設若しくは移動施設で実施されるラボラトリ活動,又は顧客の施設で実施されるラボラトリ活動が含む。

5.5 ラボラトリは,次の事項を行う。

a) ラボラトリの組織及び管理構造,親組織における位置付け,並びに管理,技術的業務及び支援サービスの間の関係を明確にする

b) ラボラトリ活動の結果に影響する業務を管理,実施又は検証する全ての要員の責任,権限及び相互関係を規定する。

c) ラボラトリ活動の一貫した適用及び結果の妥当性を確実にするために必要な程度まで手順を文書化する。

5.6 ラボラトリは,他の責任のいかんにかかわらず,次の事項を含む責務を果たすために必要な権限及び資源をもつ要員をもつ。。

a) マネジメントシステムの実施,維持及び改善

b) マネジメントシステムからの逸脱,又はラボラトリ活動の実施手順からの逸脱の特定

c) それらの逸脱を防止又は最小化する処置の開始

d) マネジメントシステムの実施状況及び改善の必要性に関するラボラトリマネジメントへの報告

e) ラボラトリ活動の有効性の確保

5.7 ラボラトリマネジメントは,次の事項を確実にする。

a) コミュニケーションが,マネジメントシステムの有効性,並びに顧客要求事項及びその他の要求事項を満たすことの重要性に関して行われる。

b) マネジメントシステムに対する変更が計画され実施された場合,マネジメントシステムの“全体として整っている状態”(integrity)が維持される。

 

6 資源に関する要求事項

6.1 一般

ラボラトリは,ラボラトリ活動の管理及び実施に必要な要員,施設,設備,システム及び支援サービスを利用できる。

6.2 要員

6.2.1 ラボラトリ活動に影響を与え得る,ラボラトリの内部又は外部の全ての要員は,公平に行動し,力量をもち,ラボラトリのマネジメントシステムに従って業務を行う。。

6.2.2 ラボラトリは,学歴,資格,教育・訓練,技術的知識,技能及び経験に関する要求事項を含め,ラボラトリ活動の結果に影響を与える各職務に関する力量要求事項を文書化する。

6.2.3 ラボラトリは,その要員が,責任をもつラボラトリ活動を実施し,かつ,逸脱の重大性を評価する力量をもつことを確実にする。

6.2.4 ラボラトリの管理要員は,要員に責務,責任及び権限を伝達する。

6.2.5 ラボラトリは,次の事項に関する手順をもち,記録を保持する。

a) 力量要求事項の決定

b) 要員の選定

c) 要員の教育・訓練

d) 要員の監督

e) 要員への権限付与

f) 要員の力量の監視

6.2.6 ラボラトリは,特定のラボラトリ活動(次を含むが,これらに限定されない)を実施する権限を,要員に与える。

a) 方法の開発,変更,検証及び妥当性確認

b) 適合性の表明又は意見及び解釈を含めた,結果の分析

c) 結果の報告,レビュー及び承認

6.3 施設及び環境条件

6.3.1 施設及び環境条件は,ラボラトリ活動に適する。また,結果の妥当性に悪影響を及ぼさない。

注記 結果の妥当性に悪影響を及ぼし得る影響には,微生物学的汚染,ほこり,電磁障害,放射線,湿度,電力供給,温度,騒音及び振動が含まれるが,これらに限定されない。

6.3.2 ラボラトリ活動の実施に必要な施設及び環境条件に関する要求事項を文書化する。

6.3.3 ラボラトリは,該当する仕様書,方法若しくは手順書に従い,又は環境条件が結果の妥当性に影響を及ぼす場合には,環境条件を監視し,制御記録する。

6.3.4 施設を管理するための手段実施し,監視し,定期的に見直す。これらの手段には,次の事項が含むが,これらに限定されない。

a) ラボラトリ活動に影響を及ぼす区域への立入り及びこれらの区域の使用

b) 汚染,干渉又はラボラトリ活動への悪影響の防止

c) 両立不可能なラボラトリ活動が行われる区域間の効果的な分離

6.3.5 ラボラトリが自身の恒久的な管理下にない場所又は施設でラボラトリ活動を実施する場合は,この規格の施設及び環境条件に関する要求事項が満たされることを確実にする。

6.4 設備

6.4.1 ラボラトリは,ラボラトリ活動の適正な実施に必要で,かつ,結果に影響を与え得る設備(これには測定装置,ソフトウェア,測定標準,標準物質,参照データ,試薬及び消耗品又は補助的器具を含むが,これらに限定されない)が利用可能である。

注記1 標準物質及び認証標準物質(CRM)には,参照標準,校正用標準物質,参照標準物質(SRM),品質管理用物質を含め,多数の名称が存在する。

JIS Q 17034 は,標準物質生産者(RMP)に関する追加情報を含んでいる。JIS Q 17034 の要求事項を満たすRMP は,能力があるとみなされる。JIS Q17034 の要求事項を満たす生産者から入手した標準物質には,製品情報シート/認証書が添えられている。そこには,その他の特性とともに,規定特性の均質性及び安定性が記載されており,認証標準物質については,更に認証値及び付随する測定不確かさ並びに計量トレーサビリティをもつ規定特性が記載されている。

注記2 JIS Q 0033 は,標準物質の選択及び使用に関する手引を提供する。ISO Guide 80 は,内部で品質管理用物質を生産するための手引を提供する。

6.4.2 ラボラトリが自身の恒久的な管理下にない設備を使用する場合は,この規格の設備に関する要求事項が満たされることを確実にする。

6.4.3 ラボラトリは,設備が適正に機能することを確実にするため及び汚染又は劣化を防止するために,設備の取扱い,輸送,保管,使用及び計画的保守の手順をもつ。。。

6.4.4 ラボラトリは,設備を業務使用に導入する前又は業務使用に復帰させる前に,規定された要求事項への適合を検証する。

6.4.5 測定に使用される設備は,妥当な結果を得るために必要な測定の精確さ及び/又は測定不確かさを達成する能力をもつ。

6.4.6 測定設備は,次の場合に校正する。

- 測定の精確さ又は測定不確かさが,報告された結果の妥当性に影響を与える。

- その設備の校正が,報告された結果の計量トレーサビリティを確立するために要求される。

注記 報告された結果の妥当性に影響を及ぼす設備には,次が含まれ得る。

- 測定対象量の直接測定に使用される設備。例えば,質量の測定を行うために,はかりを使用する場合。

- 測定値の補正に使用される設備。例えば,温度測定。

- 複数の量から計算された測定結果を得るために使用される設備。

6.4.7 ラボラトリは,校正プログラムを確立する。その校正プログラムは,校正状態についての信頼を維持するため,見直され,必要に応じて調整される。。

6.4.8 校正が必要な全ての設備又は有効期間が定められた全ての設備は,設備の使用者が校正状態又は有効期間を容易に識別できるように,ラベル付けを行うか,コード化するか,又はその他の方法で識別する。

6.4.9 過負荷又は誤った取扱いを受けた設備,疑わしい結果を生じる設備,又は欠陥をもつ若しくは規定の要求事項を満たさないことが認められた設備は,業務使用を停止する。その設備は,それが正常に機能することが検証されるまで,使用を防止するため隔離するか,又は業務使用停止中であることを示す明瞭なラベル付け若しくはマーク付けを行う。。ラボラトリは,不具合又は規定された要求事項からの逸脱の影響を調査し,不適合業務の管理の手順を開始する。(7.10参照)。

6.4.10 設備の機能についての信頼を維持するために中間チェックが必要な場合には,これらのチェックは,手順に従って実施する。

6.4.11 校正及び標準物質データに参照値又は補正因子が含まれる場合,ラボラトリは,規定された要求事項を満たすために,必要に応じて,参照値及び補正因子が更新され,有効に使用されることを確実にする。

6.4.12 ラボラトリは,意図しない設備の調整によって結果が無効となることを防ぐために,実行可能な手段を講じる。

6.4.13 ラボラトリ活動に影響を与え得る設備の記録を保持する。記録には,適用可能な場合,次の事項を含める。

a) ソフトウェア及びファームウェアのバージョンを含む,設備の識別。

b) 製造業者の名称,型式の識別及びシリアル番号又はその他の固有の識別。

c) 設備が規定された要求事項に適合していることの検証の証拠。

d) 現在の所在場所。

e) 校正の日付,校正結果,調整,受入基準及び次回校正の期日又は校正周期。

f) 標準物質の文書,結果,受入基準,関連する日付及び有効期間。

g) 設備の機能に関連する場合は,保守計画及びこれまでに実施された保守。

h) 設備の損傷,機能不良,改造又は修理の詳細。

6.5 計量トレーサビリティ

6.5.1 ラボラトリは,測定結果を適切な計量参照に結び付けるよう,それぞれの校正が測定不確かさに寄与している,文書化された切れ目のない

校正の連鎖によって,測定結果の計量トレーサビリティを確立し,維持する。

注記1 ISO/IEC Guide 99 には,計量トレーサビリティは,“それぞれが測定不確かさに寄与している,文書化された切れ目のない校正の連鎖によって計量参照に測定結果を関係付けることができるという測定結果の性質”として定義されている。

注記2 計量トレーサビリティに関する追加の情報については,附属書A を参照。

6.5.2 ラボラトリは,次のいずれかを通じて,測定結果が国際単位系(SI)にトレーサブルであることを確実にする。

a) 能力のあるラボラトリから提供される校正。

注記1 この規格の要求事項を満たすラボラトリは,能力があるとみなされる。

b) 能力のある生産者から提供された,表明されたSI への計量トレーサビリティを伴った認証標準物質の認証値。

注記2 JIS Q 17034 の要求事項を満たす標準物質生産者は,能力があるとみなされる。

c) 直接的に又は間接的に,国家標準又は国際標準との比較によって確認がなされたSI 単位の直接的実現。

注記3 幾つかの重要な単位の定義の現実的な実現方法の詳細は,SI 文書に記載されている。

6.5.3 SI 単位に対する計量トレーサビリティが技術的に不可能である場合,ラボラトリは,例えば,次のような適切な計量参照への

計量トレーサビリティを実証する。

a) 能力のある生産者から提供された認証標準物質の認証値。

b) 明確に記述され,意図した用途に合致した測定結果を提供するものとして受け入れられており,適切な比較によって確認がなされた参照測定手順,

規定された方法又は合意標準の結果。

6.6 外部から提供される製品及びサービス

6.6.1 ラボラトリは,ラボラトリ活動に影響を及ぼす,外部から提供される製品及びサービスが次の事項に該当する場合には,適切なものだけが使用されることを確実にする。

a) 製品及びサービスがラボラトリ自体の活動に組み込まれることを意図したものである場合。

b) 製品及びサービスの一部又は全てが,外部提供者から受領したままの状態でラボラトリから顧客に直接提供される場合。

c) 製品及びサービスが,ラボラトリの業務を支援するために使用される場合。

注記 製品には,例えば,測定標準並びに設備,補助設備,消耗品及び標準物質が含まれ得る。サービスには,例えば,校正サービス,サンプリングサービス,試験サービス,施設及び設備保守サービス,技能試験サービス並びに評価及び監査サービスが含まれ得る。

6.6.2 ラボラトリは,次の事項に関する手順をもち記録を保持する。

a) 外部から提供される製品及びサービスに関するラボラトリの要求事項を,明確にし,レビューし,承認する

b) 外部提供者の評価,選定,パフォーマンスの監視及び再評価に関する基準を明確にする。

c) 外部から提供される製品及びサービスが,使用される前又は顧客に直接提供される前に,ラボラトリの設定した要求事項,又は適用可能な場合,

この規格の関連する要求事項への適合を確実にする。

d) 外部提供者の評価,パフォーマンスの監視及び再評価から生じた処置をとる。

6.6.3 ラボラトリは,次の事項に関して,外部提供者に要求事項を伝達する。

a) 提供される製品及びサービス。

b) 受入基準。

c) 必要とされる要員資格を含む,力量。

d) ラボラトリ又はその顧客が外部提供者先での実施を意図している活動。

 

7 プロセスに関する要求事項

7.1 依頼,見積仕様書及び契約のレビュー

7.1.1 ラボラトリは,依頼,見積仕様書及び契約のレビューに関する手順をもつ。。この手順は,次の事項を確実にする。

a) 要求事項が十分に明確化され,文書化され,理解されている。

b) ラボラトリが,要求事項を満たすための業務能力及び資源を備えている。

c) 外部提供者を利用する場合は,の要求事項が適用され,ラボラトリが顧客に対して,外部提供者によって実施される特定のラボラトリ活動に関して通知し,顧客の承認を得る。

注記1 外部から提供されるラボラトリ活動は,次の場合に起こり得ることが認識されている。

- ラボラトリが,そのラボラトリ活動を実施する資源及び能力をもっているが,予期しなかった理由によって,その一部又は全てを実行できない場合。

- ラボラトリが,そのラボラトリ活動を実施する資源又は能力をもっていない場合。

d) 適切な方法又は手順が選択され,顧客の要求事項を満たすことができる。

注記2 内部の顧客又は定期の顧客に対しては,依頼,見積仕様書及び契約のレビューは簡素化された方法で実施することができる。

7.1.2 ラボラトリは,顧客の依頼した方法が不適切又は旧式であると考えられる場合,顧客にその旨を通知する。

7.1.3 顧客が,試験又は校正に関して,仕様又は規格への適合性の表明(例えば,合格/不合格,許容の範囲内/範囲外)を要請する場合は,その仕様又は規格及び判定ルールを明確にする。要請された仕様又は規格に当該取決めが内在する場合を除き,選択した判定ルールを顧客に伝達し合意を得る。

注記 適合性の表明に関する更なる手引について,ISO/IEC Guide 98-4 を参照。

7.1.4 依頼又は見積仕様書と契約との間での何らかの相違は,ラボラトリ活動が開始される前に解決する。個々の契約は,ラボラトリ及び顧客の双方にとって受入れ可能である。顧客から要請された逸脱が,ラボラトリの誠実さ(integrity)又は結果の妥当性に影響を及ぼさない。

7.1.5 契約からのいかなる逸脱をも,顧客に知らせる。

7.1.6 業務開始後に契約が変更される場合は,契約のレビューを繰り返す。また,全ての変更を,影響を受ける全ての要員に伝達する。

7.1.7 ラボラトリは,顧客の依頼の明確化,及び実施される業務に関連したラボラトリのパフォーマンスの監視に関して,顧客又は顧客の代理人と協力する。

注記 このような協力には,次の事項が含まれ得る。

a) 顧客固有のラボラトリ活動に立ち会うために,ラボラトリの関連する区域に正当に立ち入れるようにする。

b) 検証の目的で顧客が必要とする品目の,準備,こん(梱)包及び発送。

7.1.8 重要な変更を含め,レビューの記録を保持する。顧客の要求事項,又はラボラトリ活動の結果に関して顧客と交わした,関連する議論の記録も保持する。

7.2 方法の選定,検証及び妥当性確認

7.2.1 方法の選定及び検証

7.2.1.1 ラボラトリは,全てのラボラトリ活動に関して適切な方法及び手順を用いなければならず,また,適切な場合,測定不確かさの評価及びデータ分析のための統計的手法に関しても同様である。

注記 この規格で使用される“方法”は,ISO/IEC Guide 99 において定義される“測定手順”と同義と考えられる。

7.2.1.2 全ての方法,手順,並びにラボラトリ活動に関連する指示書,規格,マニュアル及び参照データなどの支援文書は,最新の状態で維持し,要員がいつでも利用できるようにする。(8.3 参照)。

7.2.1.3 ラボラトリは,有効な最新版の方法を用いることが不適切又は不可能でない限り,それを確実にする。必要な場合には,矛盾のない適用を確実にするため,詳細事項の追加によって方法の適用を補足する。

注記 ラボラトリ活動の実施方法について,国際規格,地域規格若しくは国家規格又は十分で簡潔な情報を含むその他の広く認められている仕様書が,そのままラボラトリの実施要員が使用できるように書かれている場合には,内部手順書として補足したり,書き直したりする必要はない。

その方法の中での操作の選択又は詳細な補足のために,追加の文書を用意する必要があり得る。

7.2.1.4 顧客が,使用する方法を指定しない場合,ラボラトリは適切な方法を選定し,選定した方法を顧客に通知する。国際規格,地域規格若しくは国家規格のいずれかにおいて公表された方法,定評ある技術機関が公表した方法,関連する科学文献若しくは定期刊行物において公表された方法,又は設備の製造業者が指定する方法が推奨される。ラボラトリが開発又は修正した方法も用いることができる。

7.2.1.5 ラボラトリは,必要なパフォーマンスを達成できることを確実にすることによって,選定した方法を導入する前にその方法を適切に実施できることを検証する。検証の記録を保持する。その方法がそれを発行する機関によって改訂される場合,ラボラトリは,必要な程度まで検証を繰り返さなければならない。

7.2.1.6 方法の開発が必要な場合,これは計画的な活動でなければならず,十分な資質を備えた,力量をもつ要員に割り当てなければならない。

方法の開発の進行につれて,顧客のニーズが依然として満たされていることを確認するため,定期的な見直しを行う。

開発計画の変更は,承認され,許可される。

7.2.1.7 全てのラボラトリ活動に関する方法からの逸脱は,その逸脱があらかじめ文書化され,技術的に正しいと証明され,正式に許可され,かつ,顧客によって受け入れられている場合に限る。

注記 逸脱に対する顧客の受入れは,契約書において事前に合意されていることもあり得る。

7.2.2 方法の妥当性確認

7.2.2.1 ラボラトリは,規格外の方法,ラボラトリが開発した方法,及び規格に規定された方法であって意図された適用範囲外で使用するもの又はその他の変更がなされたものについて,妥当性確認を行う。妥当性確認は,特定の適用対象又は適用分野のニーズを満たすために必要な程度まで幅広く行う。。

注記1 妥当性確認には,試験又は校正品目のサンプリング,取扱い及び輸送の手順が含まれ得る。

注記2 方法の妥当性確認に用いる手法は,次の事項のうちの一つ又はそれらの組合せであり得る。

a) 参照標準又は標準物質を用いた,校正又は偏り及び精度の評価。

b) 結果に影響する要因の系統的な評価。

c) 培養器の温度,分注量などの管理されたパラメータの変化を通じた,方法の頑健性の試験。

d) 妥当性が確認された他の方法で得られた結果との比較。

e) 試験所間比較。

f) 方法の原理の理解及びサンプリング又は試験方法のパフォーマンスの実際の経験に基づいた,結果の測定不確かさの評価。

7.2.2.2 妥当性が確認された方法を変更する場合は,そのような変更の影響を確定しなければならず,それらが元の妥当性確認に影響を与えることが判明した場合,新たに方法の妥当性確認を行う。

7.2.2.3 妥当性が確認された方法のパフォーマンス特性は,意図する用途に対する評価において顧客のニーズに適し,規定された要求事項に整合する。

注記 パフォーマンス特性の例には,測定範囲,精確さ,結果の測定不確かさ,検出限界,定量限界,方法の選択性,直線性,繰返し性又は再現性,外部影響に対する頑健性,又は試料若しくは試験対象のマトリックスからの干渉に対する共相関感度,及び偏りが含まれ得るが,これらに限定されない。

7.2.2.4 ラボラトリは,次の妥当性確認の記録を保持する。

a) 使用した妥当性確認の手順。

b) 要求事項の詳述。

c) 方法のパフォーマンス特性の確定。

d) 得られた結果。

e) 意図した用途に対する方法の適切性を詳述した,方法の妥当性に関する表明。

7.3 サンプリング

7.3.1 ラボラトリは,後の試験又は校正のための物質,材料又は製品のサンプリングを実施する場合,サンプリングの計画及び方法をもつ。

サンプリング方法は,後の試験又は校正結果の妥当性を確実にするために管理すべき要因を考慮する。サンプリングの計画及び方法は,サンプリングが

行われる場所で利用できる。サンプリング計画は,合理的である限り,適切な統計的方法に基づく。

7.3.2 サンプリング方法は,次の事項を記述する。

a) サンプル又はサンプリング場所の選択

b) サンプリング計画

c) 後の試験又は校正のために必要な品目を得るための,物質,材料又は製品からのサンプルの準備及び処理

注記 ラボラトリに受領された際に,7.4 に規定された更なる取扱いが必要とされる場合がある。

7.3.3 ラボラトリは,請け負った試験・校正の一部を構成する該当サンプリングデータの記録を保持する。これらの記録には,該当する場合,

次の事項を含める。

a) 用いたサンプリング手順の参照。

b) サンプリングの日付及び時刻。

c) 試料を特定し記述するためのデータ(例えば,数,量,名称)。

d) サンプリングを実施した要員の識別。

e) 使用された設備の識別。

f) 環境条件又は輸送条件。

g) 適切な場合,サンプリング場所を特定するための図面又はその他の同等な手段。

h) サンプリング方法及びサンプリング計画からの逸脱,追加又は除外。

7.4 試験・校正品目の取扱い

7.4.1 ラボラトリは,試験・校正品目の完全性並びにラボラトリ及び顧客の利益を保護するために必要な全ての規定を含め,試験・校正品目の輸送,受領,取扱い,保護,保管,保留及び処分又は返却のための手順をもつ。ラボラトリは,試験又は校正のための取扱い,輸送,保管/待機及び準備の間に品目が劣化,汚染,損失又は損傷を受けることを防止するための予防策をとる。試験・校正品目に添えられた取扱いの指示に従う。

7.4.2 ラボラトリは,試験・校正品目の明確な識別のためのシステムをもつ。この識別は,当該品目がラボラトリの責任下にある間,保持される。

識別システムは,品目の物理的な混同又は記録若しくはその他の文書で引用する際の混同が起こらないことを確実にする。識別システムは,適切ならば品目又は品目のグループの小分け及び品目の移送に対応する。

7.4.3 試験・校正品目を受領した際,規定された状態からの逸脱を記録する。品目の試験・校正に対する適性に何らかの疑義がある場合,又は品目が添えられた記述に適合しない場合,ラボラトリは,業務を進める前に更なる指示を求めて顧客に相談し,この相談の結果を記録する。顧客が,規定された状態からの逸脱を認めながらその品目の試験又は校正を要求する場合,ラボラトリは,その逸脱によってどの結果が影響を受けるおそれがあるのかを示した免責条項を報告書に含める。

7.4.4 規定された環境条件下で品目を保管又は調整する必要がある場合は,これらの条件を維持し,監視し,記録する

7.5 技術的記録

7.5.1 ラボラトリは,個々のラボラトリ活動の技術的記録には,結果,報告並びに可能であれば測定結果及び付随する測定不確かさに影響を与える要因の特定を容易にし,元の条件にできるだけ近い条件でラボラトリ活動の反復を可能とする十分な情報が含まれることを確実にする。

その技術的記録には,日付並びに個々のラボラトリ活動及びデータ・結果の確認に責任をもつ要員の識別を含める。観測原本,データ及び計算は,それらが作成される時点において記録され,特定の業務において識別可能である。

7.5.2 ラボラトリは,技術的記録の変更について,以前の版又は観測原本に遡って追跡できることを確実にする。変更の日付,変更点の表示及び変更に責任をもつ要員を含め,元のデータ及び変更されたデータ並びにそれらのファイルの両方を保持する。

7.6 測定不確かさの評価

7.6.1 ラボラトリは,測定不確かさへの寄与成分を特定する。測定不確かさを評価する際,サンプリングから生じるものを含み,重大な全ての寄与成分を,適切な分析方法を用いて考慮する。

7.6.2 校正を実施するラボラトリは,所有する設備を含め,全ての校正に関する測定不確かさを評価する。

7.6.3 試験を実施するラボラトリは,測定不確かさを評価する。試験方法によって,厳密な測定不確かさの評価ができない場合,原理の理解又は試験方法の実施に関する実際の経験に基づいて推定する。

注記1 広く認められた試験方法が,測定不確かさの主な要因の値に限界を定め,計算結果の表現形式を規定している場合には,ラボラトリは,試験方法及び報告方法の指示に従うことによって,7.6.3 を満足しているとみなされる。

注記2 結果の測定不確かさが確立され,検証されている特定の方法に関して特定された重大な影響因子が制御されていることをラボラトリが実証できる場合,個々の結果について測定不確かさを評価する必要はない。

注記3 さらに詳しい情報については,ISO/IECGuide 98-3,JIS Z 8404-1 及びJIS Z 8402 規格群を参照。

7.7 結果の妥当性の確保

7.7.1 ラボラトリは,結果の妥当性を監視するための手順をもつ。結果として得られるデータは,傾向が検出できるような方法で記録し,実行可能な場合,結果のレビューに統計的手法を適用する。この監視は,計画し,見直す。また,適切な場合,次の事項を含めるが,これらに限定されない。

a) 標準物質又は品質管理用物質の使用

b) トレーサブルな結果を得るために校正された代替の計測機器の使用

c) 測定設備及び試験設備の機能チェック

d) 適用可能な場合,チェック標準又は実用標準の管理図を伴う使用

e) 測定設備の中間チェック

f) 同じ方法又は異なる方法を用いた試験又は校正の反復

g) 保留された品目の再試験又は再校正

h) 一つの品目の異なる特性に関する結果の相関

i) 報告された結果のレビュー

j) 試験所内比較

k) ブラインドサンプルの試験

7.7.2 ラボラトリは,利用可能で適切な場合,他のラボラトリの結果との比較によって,そのパフォーマンスを監視する。

この監視は,計画し,見直さなければならない。また,次のいずれか,又は両方を含まなければならないが,これらに限定されない。

a) 技能試験への参加

注記 JIS Q 17043 は,技能試験及び技能試験提供者に関する追加情報を含んでいる。JIS Q 17043の要求事項を満たす技能試験提供者は,能力があるとみなされる。

b) 技能試験以外の試験所間比較への参加

7.7.3 ラボラトリは,監視活動で得られたデータを分析し,ラボラトリ活動の管理に使用し,適用可能であれば,改善に使用する。

監視活動で得られたデータの分析結果が,事前に規定した処置基準を外れることが判明した場合は,不正確な結果が報告されることを防止するため,適切な処置を講じなければならない。

7.8 結果の報告

7.8.1 一般

7.8.1.1 結果は,開示する前に,レビューされ,承認される。。

7.8.1.2 結果は,通常,報告書(例えば,試験報告書,校正証明書又はサンプリング報告書)の形で,正確に,明瞭に,曖昧でなく,客観的に提供されなければならない。。また,結果には,顧客と合意し,かつ,結果の解釈に必要な全ての情報及び用いた方法が要求する全ての情報を含めなければならな

い。発行された全ての報告書は,技術的記録として保持する。

注記1 この規格の目的において,試験報告書及び校正証明書は,それぞれ試験証明書及び校正報告書と呼ばれることがある。

注記2 この規格の要求事項が満たされている限り,報告書はハードコピー又は電子的手段によって発行することができる。

7.8.1.3 顧客との合意がある場合には,簡略化した方法で結果を報告してもよい。7.8.2~7.8.7 に規定されているが,顧客に報告されなかったいかなる情報も,すぐに利用できるようにっする。

7.8.2 報告書(試験,校正又はサンプリング)に関する共通の要求事項

7.8.2.1 個々の報告書は,少なくとも次の情報を含む。ただし,ラボラトリが正当な除外の理由をもち,それによって誤解又は誤用の可能性が最小化される場合はこの限りでない。

a) タイトル(例えば,“試験報告書”,“校正証明書”又は“サンプリング報告書”)

b) ラボラトリの名称及び住所

c) 顧客の施設若しくはラボラトリの恒久的施設から離れた場所,又は関連する一時施設若しくは移動施設で実施された場合を含め,ラボラトリ活動が実施された場所

d) 全ての構成要素が完全な報告書の一部であることが分かる固有の識別,及び報告書の終わりを示す明瞭な識別

e) 顧客の名称及び連絡先情報

f) 用いた方法の識別

g) 品目の記述,明確な識別,及び必要な場合,品目の状態

h) 結果の妥当性及び適用に重大な意味をもつ場合は,試験・校正品目の受領日,及びサンプリングの実施日

i) ラボラトリ活動の実施日(期間)

j) 報告書の発行日

k) サンプリング計画及びサンプリング方法が結果の妥当性又は適用に関連する場合には,ラボラトリ又はその他の機関が用いたサンプリング計画及びサンプリング方法の参照

l) 結果が,その試験,校正又はサンプリングされた品目だけに関するものであるという旨の表明

m) 結果。適切な場合,測定単位を伴う。

n) 方法への追加又は方法からの逸脱若しくは除外

o) 報告書の承認権限者の識別

p) 結果が外部提供者から出されたものである場合は,明確な識別

注記 ラボラトリの承認なく報告書の一部分だけを複製してはならないことを規定する。表明を含めることによって,報告書の一部が前後関係から切り離されないことを保証することができる。

7.8.2.2 ラボラトリは,その情報が顧客から提供されたものである場合を除き,報告書に記載された全ての情報について責任をもつ。顧客によって提供されたデータは,明確に識別される。さらに,その情報が顧客から提供されたもので,結果の妥当性に影響する可能性がある場合には,免責条項を報告書に記載する。

ラボラトリがサンプリング段階に責任をもたない場合(例えば,試料が顧客から提供された場合)には,結果は受領した試料に適用される旨を報告書に記載する。

7.8.3 試験報告書に関する特定要求事項

7.8.3.1 7.8.2 の要求事項に加え,試験結果の解釈に必要な場合,試験報告書は次の事項を含む。

a) 特定の試験条件に関する情報,例えば,環境条件

b) 該当する場合,要求事項又は仕様に対する適合性の表明(8.6 参照)

c) 適用可能な場合であって,次のいずれかの条件を満たす場合には,測定対象量と同じ単位で表示された,又は測定対象量に対する相対値

(例えば,パーセント)で表示された測定不確かさ

- 測定不確かさが,試験結果の妥当性又は適用に関連している。

- 顧客の指示が,測定不確かさを要求している。

- 測定不確かさが,仕様の限界への適合性に影響を与える。

d) 適切な場合意見及び解釈(8.7 参照)

e) 特定の方法,規制当局,顧客又は顧客のグループによって要求されることがある追加の情報

7.8.3.2 ラボラトリがサンプリング活動に責任をもつ場合,試験結果の解釈に必要であれば,試験報告書は,7.8.5 の要求事項を満たす。

7.8.4 校正証明書に関する特定要求事項

7.8.4.1 7.8.2 の要求事項に加え,校正証明書は,次の事項を含む。

a) 測定対象量と同じ単位で表示された,又は測定対象量に対する相対値(例えば,パーセント)で表示された測定結果についての測定不確かさ

注記 ISO/IEC Guide 99 によれば,測定結果は一般に,測定の単位及び測定不確かさを含む,単一の測定された量の値で表される。

b) 測定結果に影響をもつ,校正が実施された際の条件(例えば,環境条件)

c) 測定値がどのように計量トレーサビリティをもつのかを明確化した表明(附属書A を参照)

d) 利用可能な場合,調整又は修理の前後の結果

e) 該当する場合,要求事項又は仕様への適合性の表明(8.6 参照)

f) 適切な場合意見及び解釈(8.7 参照)

7.8.4.2 ラボラトリがサンプリング活動に責任をもつ場合,校正結果の解釈に必要であれば,校正証明書は,7.8.5 の要求事項を満たす。

7.8.4.3 顧客との合意がある場合を除き,校正証明書又は校正ラベルのいずれも,校正周期に関する推奨を含んではならない。

7.8.5 サンプリングの報告-特定要求事項

ラボラトリがサンプリング活動に責任をもつ場合,7.8.2 に列挙する要求事項に加え,結果の解釈に必要な場合には,報告書は次の事項を含む。

a) サンプリングの日付

b) サンプリングされた品目又は材料の固有の識別(適切な場合,製造業者の名称,指定されたモデル又は型式,及びシリアル番号を含む。)

c) 図面,スケッチ又は写真を含む,サンプリングの場所

d) サンプリングの計画及び方法の参照

e) 結果の解釈に影響する,サンプリング中の環境条件の詳細

f) 後の試験又は校正の測定不確かさを評価するために必要な情報

7.8.6 適合性の表明の報告

7.8.6.1 ラボラトリは,仕様又は規格への適合性を表明する場合,採用した判定ルールに付随する,(誤判定による合格及び誤判定による不合格,並びに統計的仮定などの)リスクのレベルを考慮に入れた上で採用した判定ルールを文書化し,それを適用する。

注記 その判定ルールが,顧客,規制又は規範文書によって規定されている場合,リスクのレベルの更なる検討は不要である。

7.8.6.2 ラボラトリは,次の事項を明示して,適合性の表明に関する報告を行う。。

a) どの結果に対して適合性の表明が適用されるのか。

b) どの仕様,規格又はそれらの一部に適合又は不適合なのか。

c) 適用された判定ルール(要求された仕様又は規格に既に含まれている場合を除く。)。

注記 さらに詳しい情報については,ISO/IEC Guide 98-4 を参照。

7.8.7 意見及び解釈の報告

7.8.7.1 ラボラトリは,意見及び解釈を表明する場合,それらを表明する権限を与えられた要員だけがそれぞれの表明を提示することを確実にする。

ラボラトリは,意見及び解釈が形成された根拠を文書化する。

注記 意見及び解釈は,JIS Q 17020 及びJIS Q 17065 が意図している検査及び製品認証の表明,並びに7.8.6 の適合性の表明と区別することが重要である。

7.8.7.2 報告書に表明する意見及び解釈は,試験又は校正した品目から得られた結果に基づかなければならず,意見及び解釈である旨を明示する。

7.8.7.3 意見及び解釈が顧客との対話で直接伝達される場合,その対話の記録を保持する。

7.8.8 報告書の修正

7.8.8.1 発行済みの報告書を変更,修正又は再発行する必要がある場合は,いかなる情報の変更も明確に識別し,適切な場合,変更の理由を報告書に含める。

7.8.8.2 発行後の報告書の修正は,“報告書,シリアル番号(又は他の識別)の修正”という表明若しくは同等の文言を含めた,追加文書又はデータ転送という形態だけによって行う。。

そのような修正は,この規格の全ての要求事項を満たす。

7.8.8.3 完全な新規の報告書を発行することが必要な場合には,この新規の報告書に固有の識別を与え,それが置き換わる元の報告書の引用を含める。

7.9 苦情

7.9.1 ラボラトリは,苦情を受領し,評価し,決定を下すための文書化したプロセスをもつ。

7.9.2 苦情処理プロセスの記述は,いかなる利害関係者にも,要請に応じて入手可能にする。苦情を受領した時点で,ラボラトリは,その苦情が,自らが責任をもつラボラトリ活動に関係するかどうかを確認し,関係があればその苦情を処理する。

ラボラトリは,苦情処理プロセスの全ての階層において,全ての決定について責任をもつ。

7.9.3 苦情処理プロセスは,少なくとも次の要素及び方法を含む。

a) 苦情を受領し,妥当性を確認し,調査を行い,それに対応してとるべき処置を決定するためのプロセスを記述する。

b) 苦情を解決するためにとられる処置を含め,苦情を追跡し,記録する。

c) 適切な処置がとられることを確実にする。

7.9.4 苦情を受領するラボラトリは,その苦情の妥当性を確認するために必要な全ての情報の収集及び検証に責任をもつ。

7.9.5 ラボラトリは,可能な場合には,苦情申立者に対して苦情の受領を通知し,進捗状況及び結果を提示する。

7.9.6 苦情申立者に伝達される結果は,問題となっている元のラボラトリ活動に関与していなかった者が作成するか,又はレビューし承認する。

注記 これは,外部の要員によって実施することができる。

7.9.7 ラボラトリは,可能な場合には,苦情処理の終了を苦情申立者に対して正式に通知する。

7.10 不適合業務

7.10.1 ラボラトリは,そのラボラトリ活動の何らかの業務の側面,又はその結果が,ラボラトリの手順又は顧客との間で合意された要求事項に適合しない場合(例えば,設備又は環境条件が規定の限界を外れている場合,監視の結果が規定の基準を満たさない場合)に実施する。

手順をもつ。この手順は,次の事項を確実にする。

a) 不適合業務の管理に関する責任及び権限を定める。

b) 処置(必要に応じて,業務を停止する又は繰り返すこと,及び報告書を保留することを含む。)を,ラボラトリの設定したリスクレベルに基づいて定める。

c) 以前の結果に関する影響分析を含め,不適合業務の重大さを評価する。

d) 不適合業務の容認の可否を決定する。

e) 必要な場合,顧客に通知して業務結果を回収する。

f) 業務の再開を承認する責任を定める。

7.10.2 ラボラトリは,不適合業務及び7.10.1 のb)~f)に規定する。処置の記録を保持する。

7.10.3 ラボラトリは,評価によって,不適合業務が再発し得ること又はラボラトリ自身のマネジメントシステムに対する運営の適合性に疑いがあることが示された場合には,是正処置を実施する。

7.11 データの管理及び情報マネジメント

7.11.1 ラボラトリは,ラボラトリ活動を行うために必要なデータ及び情報を利用する。

7.11.2 データの収集,処理,記録,報告,保管又は検索に使用されるラボラトリ情報マネジメントシステムは,導入の前に,ラボラトリによって,ラボラトリ情報マネジメントシステム内のインタフェースが適正に機能していることを含め,機能性の妥当性を確認する。

ラボラトリ情報マネジメントシステムは,ラボラトリによるソフトウェアの設定変更又は市販の既製ソフトウェアの変更を含め,変更が行われる場合には,使用前に承認し,文書化し,妥当性を確認する

注記1 この規格において,“ラボラトリ情報マネジメントシステム”には,電子化されたシステム及び電子化されていないシステムの両方に含まれるデータ並びに情報の管理が含まれる。要求事項によっては,電子化されていないシステムより電子化されているシステムに適用しやすくなる。

注記2 一般的に使用されている市販の既製ソフトウェアは,設計上の適用範囲において十分に妥当性が確認されているとみなすことができる。

7.11.3 ラボラトリ情報マネジメントシステムは,次の事項を満たす。

a) 無許可のアクセスから保護されている。

b) 不正な書き換え及び損失から防護されている。

c) 提供者若しくはラボラトリの仕様に適合する環境の中で運用されているか,又は電子化されていないシステムの場合は,手書きの記録及び転記の正確さを確保する条件を備える環境の中で運用されている。

d) データ及び情報の完全性を確実にする方法で維持されている。

e) システム障害及びそれに対する適切な応急処置及び是正処置を記録することを含む。

7.11.4 ラボラトリ情報マネジメントシステムが,異なる場所(off-site)で管理及び保守されているか,又は外部提供者を通じて管理及び保守されている

場合,ラボラトリは,システムの提供者又は操作者が,この規格の適用される全ての要求事項に適合することを確実にする。

7.11.5 ラボラトリは,ラボラトリ情報マネジメントシステムに関連する指示書,マニュアル及び参照データを要員がいつでも利用できることを確実にする。

7.11.6 計算及びデータ転送は,適切かつ系統的な方法でチェックを行う。

 

8 マネジメントシステムに関する要求事項

 

8.1 選択肢

8.1.1 一般

ラボラトリは,この規格の要求事項の一貫した達成を支援し,実証するとともに,試験・校正結果の品質を保証することを可能にするマネジメントシステムを構築し,文書化し,実施し,維持する。この規格の箇条4~箇条7 の要求事項に適合することに加え,ラボラトリは,選択肢A 又は選択肢B に基づくマネジメントシステムを実施する。

注記 詳しくは,附属書B を参照。

8.1.2 選択肢A

ラボラトリのマネジメントシステムは,少なくとも次の事項に取り組む。

- マネジメントシステムの文書化(8.2 参照)

- マネジメントシステム文書の管理(8.3 参照)

- 記録の管理(8.4 参照)

- リスク及び機会への取組み(8.5 参照)

- 改善(8.6 参照)

- 是正処置(8.7 参照)

- 内部監査(8.8 参照)

- マネジメントレビュー(8.9 参照)

8.1.3 選択肢B

JIS Q 9001 の要求事項に従ってマネジメントシステムを確立し,維持しており,この規格の箇条4~箇条7 の要求事項を一貫して満たすことを裏付け,実証することが可能なラボラトリは,少なくとも8.2~8.9に規定する。マネジメントシステム要求事項の意図をも満たしている。

8.2 マネジメントシステムの文書化(選択肢A)

8.2.1 ラボラトリマネジメントは,この規格の目的を果たすための方針及び目標を,確立し,文書化し,維持し,ラボラトリの組織の全ての階層で,この方針及び目標が周知され,実施されることを確実にする。

8.2.2 この方針及び目標は,ラボラトリの能力,公平性及び一貫性のある運営を取り上げている

8.2.3 ラボラトリマネジメントは,マネジメントシステムの開発及び実施,並びにマネジメントシステムの有効性の継続的改善に対するコミットメントの証拠を提示する。

8.2.4 この規格の要求事項を満たすことに関係する全ての文書,プロセス,システム,記録をマネジメントシステムに含めるか,マネジメントシステムから引用するか,又はマネジメントシステムに関連付ける。

8.2.5 ラボラトリ活動に関与する全ての要員は,それらの要員の職責に適用されるマネジメントシステム文書及び関連情報の該当部分を利用する。

8.3 マネジメントシステム文書の管理(選択肢A)

8.3.1 ラボラトリは,この規格を満たすことに関係する(内部及び外部の)文書を管理する。

注記 ここでいう“文書”とは,方針表明文,手順書,仕様書,製造業者の指示書,校正値表,チャート,教科書,ポスター,通知,覚書,図面,図解などであり得る。それらは,ハードコピーか,又はデジタル形式のような様々な媒体で作成できる。

8.3.2 ラボラトリは,次の事項を確実にする。

a) 文書の発行に先立って,権限をもった要員がその文書の妥当性について承認を与える。

b) 文書を定期的に見直し,必要に応じて更新する。

c) 文書の変更及び最新の改訂の状況が識別される。

d) 適用される文書の適切な版が使用に際して入手でき,必要に応じてそれらの文書の配布が管理される。

e) 文書に固有の識別を付す。

f) 廃止文書の意図しない使用を防止する。目的を問わず,廃止文書を保持する場合は,それらに適切な識別を付す。

8.4 記録の管理(選択肢A)

8.4.1 ラボラトリは,この規格の要求事項を満たすことを実証するための読みやすい記録を確立し,保持する。

8.4.2 ラボラトリは,記録の識別,保管,保護,バックアップ,アーカイブ,検索,保持期間及び廃棄のために必要な管理を実施する。

ラボラトリは,契約上の義務に準じた期間にわたって記録を保持する。これらの記録へのアクセスは,機密保持のコミットメントに準じる。また,記録は直ちに利用できる。

注記 技術的記録に関する追加的な要求事項は,7.5 に記載されている。

8.5 リスク及び機会への取組み(選択肢A)

8.5.1 ラボラトリは,次の事項を目的として,ラボラトリ活動に付随するリスク及び機会を考慮する。

a) マネジメントシステムが,その意図した結果を達成できるという確信を与える。

b) ラボラトリの目的及び目標を達成する機会を広げる。

c) ラボラトリ活動における望ましくない影響及び潜在的障害を防止又は低減する。

d) 改善を達成する。

8.5.2 ラボラトリは,次の事項を計画する。

a) これらのリスク及び機会への取組み。

b) 次の事項を行う方法。

- これらの取組みのマネジメントシステムへの統合及び実施。

- これらの取組みの有効性の評価。

注記 この規格は,ラボラトリのリスクへの取組みの計画について規定する。が,リスクマネジメントの正式な方法又は文書化された

リスクマネジメントプロセスの要求事項は規定していない。

ラボラトリは,例えば,他の手引又は規格の適用を通じて,この規格によって要求されるリスクマネジメント手法よりも広範な手法を開発するか否かを決定できる。

8.5.3 リスク及び機会への取組みは,ラボラトリが出す結果の妥当性に与える潜在的影響に釣り合ったものである。

注記1 リスクへの取組みの選択肢には,脅威の特定及び回避,機会を追求するためのリスク負担,リスク源の除去,可能性若しくは結果の変更,リスクの共有,又は情報に基づく決定によるリスク保持が含まれ得る。

注記2 機会は,ラボラトリ活動の範囲拡大,新たな顧客への取組み,新技術の使用及び顧客のニーズに取り組むその他の可能性につながり得る。

8.6 改善(選択肢A)

8.6.1 ラボラトリは,改善の機会を特定し,選択して,必要な処置を実施する。

注記 改善の機会は,業務手順のレビュー,方針の使用,全体の目標,監査結果,是正処置,マネジメントレビュー,要員からの提案,

リスクアセスメント,データの分析,技能試験の結果を通じて特定することができる。

8.6.2 ラボラトリは,顧客からの肯定的なフィードバック及び否定的なフィードバックの両方を求めなければならない。

マネジメントシステム,ラボラトリ活動及び顧客へのサービスの改善のためにフィードバックを分析し,利用する。

注記 フィードバックの種類の例には,顧客満足の調査,コミュニケーションの記録及び顧客と共同での報告書のレビューが含まれる。

8.7 是正処置(選択肢A)

8.7.1 不適合が発生した場合,ラボラトリは,次の事項を行う。。

a) その不適合に対処し,該当する場合には,必ず,次の事項を行う。

- その不適合を管理し,修正するための処置をとる。

- その不適合の結果に対処する。

b) その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため,次の事項によって,その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を

評価する。

- 不適合をレビューし,分析する。

- その不適合の原因を明確にする。

- 類似の不適合の有無,又はそれらが発生する可能性を明確にする。

c) 必要な処置を実施する。

d) とった全ての是正処置の有効性をレビューする。

e) 必要な場合には,計画の過程で明確になったリスク及び機会を更新する。

f) 必要な場合には,マネジメントシステムの変更を行う。

8.7.2 是正処置は,検出された不適合のもつ影響に応じたものでなければならない。

8.7.3 ラボラトリは,次の事項の証拠として記録を保持する。

a) 不適合の性質,原因及びそれに対してとったあらゆる処置

b) 是正処置の結果

8.8 内部監査(選択肢A)

8.8.1 ラボラトリは,マネジメントシステムが次の状況にあるか否かに関する情報を提供するために,あらかじめ定めた間隔で内部監査を実施する。

a) 次の事項に適合している。

- ラボラトリ活動を含めた,ラボラトリ自体のマネジメントシステムに関する要求事項

- この規格の要求事項

b) 有効に実施され,維持されている。

8.8.2 ラボラトリは,次の事項を行う。

a) 頻度,方法,責任,要求事項の立案,及び報告を含む,監査プログラムを計画し,確立し,実施し,維持する。監査プログラムは,関連するラボラトリ活動の重要性,ラボラトリに影響を及ぼす変更及び前回までの監査の結果を考慮に入れる。

b) 各監査について,監査基準及び監査範囲を定める。

c) 監査の結果を関連する管理要員に報告することを確実にする。

d) 遅滞なく,適切な修正及び是正処置を実施する。

e) 監査プログラムの実施及び監査結果の証拠として,記録を保持する。

注記 JIS Q 19011 は,内部監査に関する指針を示している。

 

8.9 マネジメントレビュー(選択肢A)

8.9.1 ラボラトリマネジメントは,マネジメントシステムが引き続き,適切,妥当かつ有効であることを確実にするために,この規格を満たすことに関係する明示された方針及び目標を含め,あらかじめ定めた間隔でマネジメントシステムをレビューする。

8.9.2 マネジメントレビューへのインプットは,記録する。また,マネジメントレビューへのインプットには,次の事項に関係する情報を含める。

a) ラボラトリに関連する,内部及び外部の課題の変化

b) 目標の達成

c) 方針及び手順の適切さ

d) 前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況

e) 最近の内部監査の結果

f) 是正処置

g) 外部機関による評価

h) 業務の量及び種類の変化,又はラボラトリ活動の範囲の変更

i) 顧客及び要員からのフィードバック

j) 苦情

k) 実施された改善の有効性

l) 資源の適切性

m) リスク特定の結果

n) 結果の妥当性の保証の成果

o) 監視活動及び教育訓練などのその他の関連因子

8.9.3 マネジメントレビューからのアウトプットは,少なくとも次の事項に関係する全ての決定及び処置を記録する。

a) マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性

b) この規格の要求事項を満たすことに関係するラボラトリ活動の改善

c) 必要とされる資源の提供

d) あらゆる変更の必要性

 

ここで紹介させて頂いているISO17025品質マニュアルは、私が過去から最近までISO17025のコンサルをして、その中で出来上がったものです。

 

下記にご紹介しているISO17025の取得のコンサルにおいても、皆様にご案内している品質マニュアルを最初の作成に取り掛かる時に提供している基本的なISO17025品質マニュアルです。

 

私の今までのISO17025指導の中で作り上げたものです。

 

下記の審査においても、審査員様から大変褒められました。それは,ほかの審査をした会社のマニュアルは、こんなところが全然なかったと比較されて言われました。

 

皆様、品質マニュアルをはじめ、ほかの管理文書、手順書、記録様式等、一式作成されるのは大変で、苦労すると思いませんか?

 

また、全文書を完成させるのにどのくらいの期間で出来上がると思いますか?

 

半年で出来上がりますか? 皆さんが一から作られて6ケ月以内で作れるとは思いません。

皆さんそう思いませんか?

 

それだったらある程度完成しているISO17025品質マニュアルをたたき台として使ってみませんか?

 

下記にISO17025取得を1年で成し遂げられた企業様は、この品質マニュアル等の早期完成ができたので、1年間でISO17025の取得が可能になったのです

 

 

 

令和2年11月より1年間、令和2年11月に関東で指導させて頂いた企業様が無事、認定登録審査を受けられ、不適合1件という素晴らしい成績でISO17025を取得されました。

コロナ禍の令和2年11月の取得へのスタート。指導に当たってどのような指導をしていけば

良いのか?考える方法はなし。経験したことのないコロナ禍。全国が不安の最中。いろいろな情報がテレビから流されてくる。

さしあたり、ZOOMを使ったリモートによる月3回(午前10時から12時)の指導を開始。

それでも冬の季節のためコロナによる感染は広がるだけ。よって年を明け1月から3月まで

このままのZOOMによる指導が続きました。しかし、9月に初回審査が組まれているので

どうしても、4月からは現地審査も入れないとまずい。

よって4月からは、月1回の現地指導と、2回のリモート指導を組み合わせ指導することにしました。

このISO17025の取得は、大変敷居の高い、難しい内容を含んだもので、多くの企業様が挑戦されるが、挫折される(途中でISO17025の取得をあきらめられる)。

私も長年、このISO17025の取得の指導をし、取得を目指される企業様と共に、多くの時間

(コロナ禍の前は、指導期間2年、現地指導訪問回数30回(1回⇒朝10時より夕方4時まで))を使い、お互い長期期間がんばりました。

 

これからISO17025の取得を目指す企業様へ

取得するためには、取得を目指すチーム(部門)の全員の協力、取り組みが必要になります。

皆様は、ISO17025を取得するために、一生懸命取り組みされる気持ちは大いにあると思います。ただここで問題なのが、今までの通常業務を行いながら、取り組まなければならないということです。

よって忙しい中でのISO17025の取得において大事なのは、やはりいつまで取得するという確固たる計画、中心となるリーダーシップを持った人への任せ、そして全員の協力、最後にコンサルとの相性です。

 

多くのISO17025取得をあきらめた企業様の二の前にならないためにも、コンサルの導入をお勧めします。

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