IATF 16949運用記録の役割

1. 品質マネジメントシステムの有効性の証明

運用記録は、組織がIATF 16949の要求事項を実際に満たしていることを示す「証拠」です。

例えば:

  • 内部監査記録

  • 品質目標の達成状況

  • 不適合品の管理記録

これらは、第三者審査(監査)や顧客監査の際に「実際にやっています」と証明する材料となります。

2. 問題発生時の原因追跡・再発防止

製造工程で不具合が起きたとき、「どこで、なぜ起きたか」を追跡するために記録は不可欠です。

  • トレーサビリティ記録(製品がどの工程を経たか)

  • 是正処置・予防処置の履歴

これにより、再発防止のための継続的改善が可能になります。

3. 工程管理と製品の一貫性の確保

製造条件、設備の点検結果、作業者の訓練記録などは、製品品質の一貫性を確保するために必要です。

  • 作業指示書の改訂履歴

  • 計測器の校正記録

  • 工程パラメータの記録(温度・圧力など)

これらを記録することで、工程が管理された状態にあることを示せます。

4. 顧客要求への対応

顧客によっては、特定の運用記録(例:検査記録、ロットトレーサビリティ)が必要です。これらに対応することで、顧客満足度の向上につながります。

5. 法的・規制要求への準拠

一部の記録は、法的要求事項や安全規制を満たすためにも必要です。特に車両の安全や環境規制に関係する記録(リコール対策など)は重要です。

 代表的な記録例

製造フィージビリティ検討結果表 42
APQP計画書 44
ソフトウエア開発能力の評価表 45
コントロールプラン 46
設計・開発中の規定された段階での測定項目 47
APQP計画総括・承認書 48
設計開発変更記録 49
設計改善要望書 50