内部監査

内部監査(Internal Audit)とは、

組織自らが、自身の労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)を客観的に評価する活動です。
目的は、「ちゃんと規格通りに運用されているか?」「有効に機能しているか?」を定期的にチェックし、改善点を見つけ出すことです。

ISO 45001では、第9章「パフォーマンス評価」→ 9.2 内部監査 にて要求されています。

ISO 45001:2018 規格要求(9.2 内部監査)

ISO規格では以下が求められています:

9.2.1:

組織は、以下を確実にするために定期的な内部監査を実施すること:

  • OHSMSが、組織の計画した取組み(方針・目的など)やISO 45001の要求事項に適合していること

  • システムが効果的に実施され、維持されていること

9.2.2:

内部監査の実施にあたって、以下を含むプログラムを策定すること:

要素 内容
a. 監査の頻度(年1回が一般的)
b. 監査方法(インタビュー、書類確認、現場確認など)
c. 監査責任(監査チームの編成)
d. 監査基準(規格要求事項、内部ルール)
e. 結果の報告と改善処置

内部監査の実施の流れ

以下のステップで進めるのが一般的です:

① 監査計画の立案

  • 年間監査スケジュールを作成

  • 監査対象部門・テーマ・時期・責任者を決定

② 監査員の任命と準備

  • 原則、自部門は監査しない(客観性確保)

  • 監査チェックリストを準備

③ 監査の実施

  • 現場観察・インタビュー・記録確認などで情報を収集

  • 規格・手順との不一致(不適合)や改善点を特定

④ 監査報告書の作成

  • 結果を文書化(不適合・是正の要否を明記)

  • 監査対象者にも共有して説明

⑤ 是正処置・フォローアップ

  • 不適合があれば、是正処置計画の提出・実施状況を確認

  • 効果が出ているかを追跡(必要なら再監査)


📋【チェックリストの例(項目例)】

チェックポイント OK/NG コメント
安全衛生方針は現場で認識されているか? OK ポスターで掲示あり
危険源の特定・リスク評価は実施されているか? NG 直近6ヶ月で見直しがされていない
法令遵守リストは最新か? OK 2025年4月に更新済み
緊急事態対応訓練は実施されているか? OK 年1回、写真と報告書あり
PPE(保護具)の使用状況は適切か? NG 一部未着用者あり(指導済み)

🎯【よくある不適合例】

不適合の例 説明
リスクアセスメントの未更新 作業内容が変わったのにリスク評価が未実施
教育記録の未保管 安全訓練の記録が見当たらない
法令管理台帳が古い 最新の労基法改正が反映されていない
緊急時対応手順が従業員に周知されていない 訓練や説明会が未実施
是正処置の実施記録がない 前回の不適合に対する対応が不明確