(1)計量法校正事業者登録制度
独立行政法人製品評価技術基盤機構の認定センターが計量法第143条の規定に基づき、計量器の校正又は標準物質の値付け(以下「校正等」という。)の事業を行う者のある特定の校正分野における能力を審査して登録する制度です。
(2)登録の対象となる校正範囲等
登録を申請する者(以下「申請事業者」という。)は、事業所ごとに申請時にどのような登録を取得したいのか、すなわち、校正事業の範囲(登録に係る区分、校正手法の区分、計量器等の種類、校正範囲及び最高測定能力等の詳細。以下「事業の範囲」という。)を特定しなくてはなりません。
(3)認定機関
計量法校正事業者登録制度は、経済産業省産業技術環境局知的基盤課及び独立行政法人産
業技術総合研究所の支援と協力を得て
認定センターにより運営されています。一般に、このような制度を管理・運営する機関は「認定機関」と呼ばれています。
(4)運営法令等
計量法関係法令
① 計量法(平成4年5月20日法律第51号): 第8章
② 計量法施行令(平成5年10月6日政令第329号): 第39条
③ 計量法関係手数料令(平成5年10月20日政令第340号): 第2条
④ 計量法施行規則(平成5年10月25日通商産業省令第69号): 第8章
⑤ 計量法施行規則第90条の2ただし書きに基づく校正手法を定める件(平成21年4月13日告
示第76号)
⑥ 計量法に基づく登録事業者の登録等に係る規程(以下「登録規程」といいます。)
国際規格等
① ISO/IEC 17011(2004) (JIS Q 17011(2005)): Conformity assessment – General require ments for accreditation bodies accrediting conformity assessment bodies(適合性評価-適合性評価機関の認定を行う機関に対する
一般要求事項)
② ISO/IEC 17025(2005)(JIS Q 17025 (2005)) : 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
③ JIS Z 8103 (2000) : 計測用語
④ ISO/IEC 17000(2004) : Conformity assessment – Vocabulary and general principles(適合性評価-用語及び一般原則)
⑤ VIM (1993) : 国際計量基本用語集(International Vocabulary of Basic and General Terms in Metrology)
⑥ ISO/IEC Guide 98-3(2008):Uncertainty of measurement -Part 3:Guide to the expression of uncertainty in measurement(GUM:1995)
⑦ ISO Guide 34(2009): General requirements for the competence of reference material producers
(5)登録基準
申請事業者は、計量法第143条の規定に基づき、下記の規程の全ての要求事項に適合しているかについて審査されます。また、登録を受けた後も継続してこれらの基準を満足しなければなりません。
JCRP21 JCSS登録の一般要求事項
校正機関の登録に対する一般要求事項として、各国認定機関で用いられている(ISO/IEC17025(JIS Q 17025)の関連要求事項が採用されています。申請事業者又は登録事業者の方はこの規格の一般要求事項を満足しなければなりません。
JCT2△△△△ JCSS技術的要求事項適用指針(各分野別)事業の範囲(校正手法の区分又は種類)ごとに作成される文書です。ある特定の事業の範囲(校正手法の区分又は種類)にISO/IEC 17025(JIS Q 17025)要求事項に適用される方針がある場合は、当該文書に規定されます。
注) 制定された文書から逐次、JCSSホームページの公開文書にて公表。詳しくは認定センターにお問い合わせください。
URP23 IAJapan測定のトレーサビリティに関する方針
登録事業者が事業の範囲内の校正等に使用する計測機器等のトレーサビリティの確保に関する認定センターの基本的方針が述べられています。これはJCSS登録の一般要求事項のうち該当する項目の解釈でもあり、登録基準の一部となります。
(6)申請から登録までの流れ
登録申請書の提出→書類審査→現地審査→認定委員会→認定登録
特定標準器による校正等を受けたことを示す計量法第136条の証明書
の取得(特定二次標準器等の保有)又は特定二次標準器若しくは標準物質
に連鎖して段階的に計量器の校正等を受けたことを示す計量法第144条
の証明書の取得
(常用参照標準の保有)
校正等の技術能力の証明(技能試験への参加等)
注)登録に係る区分によっては申請後に登録審査の一部として有料の技能試験を実施す
る場合があります。
校正等の実施の方法を定めた規程の整備(品質マニュアル、校正マニュ
アル、不確かさの見積マニュアル、バジェット表
等)
申請書類の作成
申請書類の提出(正本1部、写し3部)
遵守事項の誓約書の提出
登録申請手数料の支払い
認定機関の審査チームによる書類審査
認定機関の審査チームによる現地審査
認定機関の評定委員会による審査結果の評定
認定機関による登録証の交付
認定機関による官報掲載
認定機関によるホームページ等での公表
現地審査までにマネジメントシステムの運用を開始し、内部監査とマネジメント・レビューをISO/IEC 17025(JIS Q 17025)の全項目について実施し、予めISO/IEC 17025(JIS Q 17025)への全体的な適合性を自己確認。
現地審査
書類審査の後、審査チームは現地審査を実施します。現地審査は、校正等の事業を実施する事業所において、「申請に必要な書類に記載された事項が事実かどうか」、「校正等の事業に用いる設備・施設等のハード面に問題はないかどうか」及び「校正等の技術的能力、マネジメントシステム等のソフト面に問題がないかどうか」について審査します。審査は、一般的に、申請事業者の品質管理者技術管理者校正従事者に対するヒアリングや模擬的な校正作業を観察する模擬校正などの方法で行われます。
現地審査の期間は、申請の範囲によりますが、通常2日間程度です。
登録の更新申請
登録の有効期限は、4年と計量法施行令で定められています
認定国際基準に対応する事業者の申込み
国際MRA対応認定事業者には、定期検査を受審し、定期的に技能試験に参加することが求められます。これらの定期検査や技能試験は、登録された校正手法の区分数や参照値のための校正費用などに基づいて実費ベースで試算した料金をお支払いいただく有料サービスとなります。
登録事業者及び申請事業者は、国際MRA対応認定事業者となるための申込みをすることができます。この申込みは一度行っていただくことで申込み内容に変更がない限り年度毎に申込む必要はありません。申込みは原則、登録を受けている又は受けようとしている範囲のすべてについて行ってください。ただし、希望がある場合には、一部の範囲についてのみ申し込むことも可能です。
なお、申込みを希望される標準物質の生産者にあっては、「JCSS登録の一般要求事項」に規定のとおり、ISO Guide 34*7の要求事項を満足しなければなりません。
この申込みによる契約を行うことで申込みをした範囲については、認定国際基準に対応する資格を有することが宣言できます。