初めて内部監査を担当する技術者、認定審査の準備をしている試験所の品質管理者,内部監査の効率化を図りたいベテラン監査員の方で下記のような悩みはありませんか?
ISO 17025の内部監査を任されたが、何から始めればよいかわからない…
おお、それは重要な役割ですね!
ISO/IEC 17025の内部監査を任されたとのこと、お疲れさまです。
最初は戸惑うかもしれませんが、ちゃんと順を追って準備すれば大丈夫👌
ISO17025内部監査の始め方ガイド
ISO17025の内部監査を任されたのは大きな責任ですね。まずは焦らず、段階的にアプローチしていきましょう。以下に具体的な始め方をご紹介します。
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規格を理解する
- ISO17025:2017の規格文書を入手して精読する
- 特に重要なセクション(組織の公平性、機密保持、技術要求事項など)を理解する
- 可能であれば、ISO17025内部監査員研修を受講する
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自組織の品質マニュアルを確認する
- 品質マニュアルや手順書を精読し、自組織のシステムを理解する
- 前回の内部監査報告書や外部審査の結果を確認する
- 是正処置記録を確認し、過去の不適合パターンを把握する
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監査計画を策定する
- 監査の目的、範囲、基準を明確にする
- 監査スケジュールを作成(部門ごとの日程調整)
- 監査チームを編成(必要に応じて専門知識を持つメンバーを加える)
- 監査チェックリストを作成する
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監査チェックリストの準備
- ISO17025の要求事項をベースにしたチェックリストを作成
- 以下の主要カテゴリを含める:
- 組織と公平性
- マネジメントシステム
- 文書管理
- 契約のレビュー
- 外部提供の製品・サービス
- 技術的要求事項
- 測定のトレーサビリティ
- 試験・校正方法の妥当性確認
- 結果の品質保証
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関係者への周知
- 監査計画を関係者に通知し、目的と進め方を説明
- 必要な文書や記録の準備を依頼
- 質問や懸念に対応する
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監査の実施
- 初回会議で監査の目的と進め方を説明
- チェックリストに沿って証拠を収集(インタビュー、文書レビュー、観察)
- 適合・不適合の判断基準を明確にして評価
- 発見事項を記録
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監査報告書の作成
- 不適合事項と改善機会をまとめる
- 客観的証拠に基づいた報告書を作成
- 最終会議で結果を報告し、次のステップを説明
実践的なアドバイス
- 非難するのではなく、改善を目的とした姿勢で臨む
- 特に技術的な側面(測定の不確かさ、方法の妥当性確認など)に注意を払う
- 監査のプロセスそのものも継続的に改善する
初めての内部監査では完璧を目指さず、まずは基本的なプロセスを理解し、経験を積むことが大切です。監査を通じて組織の品質システムの強みと弱みを特定し、継続的改善につなげていきましょう。
審査で不適合を指摘されないためには、どう監査を実施すればよいのか?
ISO17025認定審査で不適合を指摘されないための内部監査実施ガイド
ISO17025の認定審査で不適合を指摘されないためには、効果的な内部監査が不可欠です。以下に、審査に強い内部監査の実施方法をご紹介します。
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認定機関の視点を取り入れる
- 認定機関が公開している審査基準やチェックリストを入手して活用する
- 過去の認定審査報告書や事例集を研究し、よくある不適合を把握する
- 可能であれば、認定審査員経験者を内部監査チームに加える
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リスクベースアプローチを採用する
- 過去に不適合が出た分野や変更のあった領域に重点を置く
- 技術的に複雑なプロセスや重要な試験・校正方法を優先的に監査する
- 新しい設備や方法、スタッフが関わる領域に特に注意を払う
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徹底的なチェックリストを準備する
- ISO17025:2017の全要求事項をカバーする詳細なチェックリストを作成
- 以下の重要項目を特に詳細に確認する:
- 測定の不確かさの評価と報告
- 試験・校正方法の妥当性確認/検証の記録
- 技術スタッフの力量評価と教育訓練
- 機器の校正と中間チェック
- サンプリング手順の文書化
- 結果の品質保証と技術的管理
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客観的証拠の重視
- 「言われた」「聞いた」だけでなく、必ず文書や記録で証拠を確認する
- サンプリング数を増やし、複数の事例で一貫性を確認する
- 試験・校正報告書を遡って確認し、要求事項への一貫した適合性を検証する
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トレーサビリティを重点的に確認
- 全ての測定機器の校正証明書を確認し、SI単位へのトレーサビリティを検証
- 校正周期の根拠と遵守状況をチェック
- 参照標準・標準物質の適切な使用と管理を確認
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不確かさ見積もりの厳密な検証
- 不確かさ見積もりの方法論と計算の妥当性を詳細に確認
- 報告書における不確かさの適切な表示をチェック
- 不確かさバジェットの完全性を評価
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プロセスの流れに沿った監査
- 個別の要求事項だけでなく、プロセス全体の流れを追跡する
- 顧客からの依頼→方法選択→実施→結果報告の一連の流れを確認
- 関連部門間のインターフェースや情報の受け渡しを検証
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監査後のフォローアップを徹底する
- 特定された全ての不適合に対する根本原因分析を要求する
- 是正処置の有効性を厳格に評価する
- 是正処置の完了まで追跡し、検証する
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外部の目を取り入れる
- 可能であれば、組織外の専門家による第三者監査も実施する
- 技術分野に精通した専門家によるピアレビューを行う
- 技能試験結果や比較測定の結果も監査のインプットとして活用する
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教育的アプローチ
- 監査の目的は「不適合を見つけること」ではなく「システムを改善すること」であると認識する
- 発見事項を踏まえた教育機会を提供する
- 監査を通じて職員の規格理解度を高める
効果的な内部監査は、認定審査の「予行演習」として機能します。認定機関と同等以上に厳格な視点で自己評価することで、実際の審査での不適合リスクを大幅に低減できます。
ISO/IEC 17025内部監査とは、
試験所または校正機関がISO/IEC 17025(試験所・校正機関の能力に関する国際規格)の要求事項に適合しているかを社内で評価するプロセスです。
内部監査の目的
- 規格への適合性の確認:試験所の品質マネジメントシステム(QMS)や技術的要件がISO/IEC 17025の要求事項を満たしているかを検証する。
- 改善機会の発見:不適合や改善点を特定し、是正処置を講じることで、試験所の信頼性を向上させる。
- 認定機関による監査の準備:認定機関による監査に備え、事前に問題点を抽出し、処置、 是正処置をします。
内部監査の対象範囲
ISO/IEC 17025:2017(最新版)の主要な要求事項に基づき、以下の項目を監査します。
- 品質マネジメントシステム(QMS)
- 文書管理、記録管理、是正処置、苦情対応など
- 技術的能力
- 試験・校正方法の妥当性、機器の管理、測定のトレーサビリティ、不確かさの評価など
- 人員の能力・訓練
- 施設・環境条件
内部監査5つのステップ
STEP 1:内部監査の計画
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- 監査スケジュール、
- 監査チームの選定(独立性の確保)
- 監査対象範囲の決め方監査計画の策定
監査項目を決定。
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- STEP 2:チェックリストの作成
- 具体例:
- 管理要件(4章)と技術要件(5章)の重点項目(例: 機器の校正記録、試験員の能力評価)
- 具体例:
- STEP 2:チェックリストの作成
- 監査の実施
- インタビュー、記録確認、現場確認などにより、規格への適合性を評価。
- 不適合の指摘と是正措置
- 問題点を報告し、是正・予防措置を要求。
- 監査報告書の作成
- 監査結果を文書化し、改善提案を行う。
- 是正処置につなげるための「不適合の明確な記載」(5W1H形式)
- フォローアップ
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- 是正処置が適切に実施されたかを確認。是正処置報告書の書き方 (再発防止策の記載必須)
- クロージングミーティングの進め方
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内部監査の頻度
- 通常、年1回以上実施(リスクや業務変更に応じて調整可能)。
- 重要なプロセスや過去に不適合があった領域は重点的に監査。
内部監査員の要件
- 客観性:監査対象部門から独立していること。
- 知識・経験:ISO/IEC 17025の要求事項を理解し、監査手法(質問技法、証拠収集)に習熟していること。
内部監査のメリット
✔ 試験所の信頼性向上
✔ 認定維持・更新の支援
✔ 継続的改善の促進
ISO/IEC 17025内部監査は、試験所が正確で信頼性の高いデータを提供するために不可欠なプロセスです。適切に実施することで、認定機関の審査や顧客からの信頼獲得にもつながります。
不適合事例、是正処置事例(省略)
内部監査員養成研修(2日間)
- 2日間の集中研修
- 実践的な監査演習
- 監査技法の習得
- 修了証発行
ISO17025内部監査員研修、或いは内部監査の実施についてのお問い合わせは、
下記よりお問い合わせ下さい。