ISO9001審査で不適合を指摘されないための内部監査実施のすすめ
ISO9001の審査で不適合を指摘されないためには、効果的な内部監査が鍵となります。以下に、外部審査に強い内部監査の実施方法をご紹介します。
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審査機関の視点を取り入れる
- 審査機関が公開している審査基準やガイドラインを入手して活用する
- 過去の審査報告書から審査員の注目点を把握する
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リスクベースアプローチを導入する
- 組織のリスクと機会の分析結果を内部監査の計画に反映させる
- 過去に不適合が出た領域や変更のあったプロセスに重点を置く
- 組織の目標達成に重要なプロセスを優先的に監査する
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規格要求事項の完全カバー
- ISO9001:2015の全要求事項を網羅したチェックリストを作成する
- 特に以下の要素に注力する:
- 組織の状況(4章):内外の課題・利害関係者のニーズの特定と対応
- リーダーシップ(5章):トップのコミットメントと責任の実践
- リスクと機会への取り組み(6章):リスク対応の計画と実施
- パフォーマンス評価(9章):データ収集と分析の仕組み
- 改善(10章):不適合対応と継続的改善の実践
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プロセスアプローチによる監査
- 個別の要求事項だけでなく、プロセス全体の流れに沿って監査する
- プロセス間の相互関係と相互作用を確認する
- インプット→活動→アウトプットの連鎖を検証する
- PDCAサイクルの実践状況を確認する
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客観的証拠の徹底的な収集
- 「言った」「聞いた」だけでなく、具体的な証拠を確認する
- 文書や記録のサンプリング数を増やし、一貫性を検証する
- 複数の証拠を組み合わせて適合性を確認する
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有効性評価を重視する
- 単なる適合性確認ではなく、プロセスの有効性評価に注力する
- 「ルール通りやっているか」だけでなく「目的を達成しているか」を確認する
- パフォーマンス指標の達成状況と傾向を分析する
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徹底的なインタビュー技術
- 開かれた質問を活用し、YES/NO回答だけにならないよう工夫する
- 「なぜそうするのか」の理解度を確認する質問を含める
- 様々な階層の従業員にインタビューし、一貫性を確認する
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厳格なフォローアップ
- 内部監査で特定された全ての問題に対する是正処置を監視する
- 根本原因分析の深さと是正処置の適切性を評価する
- 是正処置の有効性を検証するまでプロセスを完結させない
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経営層の関与促進
- 内部監査結果を経営層に明確に報告し、認識を共有する
- マネジメントレビューのインプットとして活用する
- 経営層の参画を促し、システム改善のコミットメントを引き出す
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継続的改善の実践
- 内部監査そのものを継続的に改善する
- 監査員の力量向上を図る
- 監査手法や焦点を定期的に見直す
これらのアプローチを取り入れた内部監査は、単なる「チェック作業」ではなく、組織の品質マネジメントシステムを強化する強力なツールとなります。外部審査員と同等以上の厳しい目で自己評価することで、実際の審査での不適合リスクを大幅に低減できるでしょう。