ISO 9001:2015 の要求事項(章ごとの詳細説明)
1. 適用範囲(Scope)
ISO 9001の適用範囲を定め、組織のQMSの意図と目的を明確にします。組織が提供する製品やサービスが顧客要求および適用される規制要件を満たすことを保証することが目的です。
2. 引用規格(Normative References)
ISO 9001に関連する他の規格を参照します。例えば、ISO 9000(品質マネジメントの基本概念と用語)などが含まれます。
3. 用語及び定義(Terms and Definitions)
ISO 9000で定義されている基本的な用語の説明が行われます。例えば、「リスクベースの考え方」「プロセスアプローチ」などが含まれます。
4. 組織の状況(Context of the Organization)
組織の内部および外部の課題を理解し、QMSを効果的に適用するためのフレームワークを確立することを目的とします。
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4.1 組織及びその状況の理解
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組織を取り巻く外部・内部環境(市場動向、法規制、技術変化など)を分析する。
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4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
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顧客、規制当局、取引先などの期待を把握する。
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4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
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組織のQMSの適用範囲を定義する。
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4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
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プロセスアプローチを採用し、組織の活動を管理する。
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5. リーダーシップ(Leadership)
トップマネジメントが品質マネジメントの方針を策定し、組織内でその意義を伝えます。
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5.1 リーダーシップ及びコミットメント
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QMSの有効性を確保し、顧客重視の文化を促進する。
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5.2 品質方針
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企業の品質方針を策定し、周知・維持する。
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5.3 組織の役割、責任及び権限
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QMSの管理責任者や各部門の役割を明確化する。
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6. 計画(Planning)
リスクベースの考え方を導入し、QMSの目標と改善の方針を策定します。
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6.1 リスク及び機会への取り組み
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事業リスクと機会を特定し、適切な対策を実施する。
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6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
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具体的で測定可能な品質目標を設定し、その達成計画を作成する。
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6.3 変更の計画
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組織の変化(新規事業、設備導入、法改正など)に対応する計画を策定する。
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7. 支援(Support)
QMSを適切に運用するために必要な資源や情報を管理します。
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7.1 資源
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人的資源、インフラ、作業環境などを適切に管理する。
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7.2 力量
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適切なスキルを持った人材を確保し、教育・訓練を行う。
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7.3 認識
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QMSの重要性について従業員に理解を促す。
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7.4 コミュニケーション
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内部・外部への品質関連の情報伝達を適切に管理する。
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7.5 文書化した情報
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文書(手順書、記録など)を適切に管理する。
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8. 運用(Operation)
製品やサービスの提供プロセスを管理し、品質を保証します。
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8.1 運用の計画及び管理
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計画に基づき、運用プロセスを適切に管理する。
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8.2 製品及びサービスの要求事項の決定
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顧客要求や法的要求を明確にし、遵守する。
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8.3 製品及びサービスの設計・開発
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設計・開発プロセスを確立し、品質を担保する。
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8.4 外部からの提供の管理
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仕入れ先や外注先の管理を行い、品質を確保する。
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8.5 製造及びサービス提供
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製造やサービスの提供プロセスを管理し、要求事項を満たす。
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8.6 製品及びサービスのリリース
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検査・試験を行い、品質基準を満たした製品のみを出荷する。
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8.7 不適合なアウトプットの管理
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不適合品の識別・処置を行い、品質の低下を防ぐ。
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9. パフォーマンス評価(Performance Evaluation)
QMSの有効性を監視・測定し、継続的な改善を図る。
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9.1 監視、測定、分析及び評価
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製品・サービスの品質データを収集・分析する。
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9.2 内部監査
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QMSの適合性を確認するため、定期的な内部監査を実施する。
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9.3 マネジメントレビュー
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経営層がQMSの有効性を評価し、改善策を検討する。
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10. 改善(Improvement)
継続的な改善を行い、品質マネジメントシステムの向上を図ります。
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10.1 一般
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品質改善のための取り組みを継続する。
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10.2 不適合及び是正処置
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問題が発生した場合、原因を特定し、是正処置を講じる。
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10.3 継続的改善
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組織全体で継続的な改善活動を推進する。
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最後に
ISO 9001:2015は、組織の品質マネジメントシステムを確立し、継続的に改善するための枠組みを提供します。特に「リスクベースの考え方」や「プロセスアプローチ」を採用し、組織が効率的に品質を管理できるように設計されています。