ISO13485品質マニュアル作成の計画

ISO 13485は、医療機器の品質マネジメントシステム(QMS)に関する国際規格です。ISO 13485に準拠した品質マニュアルを作成するためには、以下のような計画を立てることが重要です。

  1. プロジェクトの計画とスケジュール作成
    目的の明確化: 品質マニュアルの目的、範囲、適用範囲を明確にします。

プロジェクトチームの編成: 品質保証部門、製造部門、規制事務部門など、関連する部門からメンバーを選出します。

スケジュールの作成: マニュアルの作成、レビュー、承認、発行までのスケジュールを策定します。

  ISO 13485品質マニュアルの作成計画について、段階的なアプローチを提案します:

  1. 準備段階(1-2ヶ月)
  • プロジェクトチームの編成
  • 現状分析の実施
  • 医療機器規制要件の確認
  • 規格要求事項の理解
  • ギャップ分析の実施
  • スケジュールの策定
  1. 基本方針策定(1ヶ月)
  • 品質方針の策定
  • 組織体制の確立
  • QMS責任者の選任
  • 文書体系の設計
  • リスクマネジメント方針の策定
  1. マニュアル骨子作成(2ヶ月)
  • マニュアルの章立て
  • 各章の概要作成
  • 製品実現プロセスの整理
  • リスクマネジメントプロセスの整理
  • バリデーション要件の整理
  1. 詳細内容の作成(3-4ヶ月)
  • 各プロセスの文書化
  • 手順書の作成
  • 記録様式の整備
  • 滅菌バリデーション方法の確立
  • トレーサビリティシステムの構築
  • 不適合品の管理方法
  • 市販後監視の方法
  1. レビューと修正(1-2ヶ月)
  • 内部レビューの実施
  • 試験運用
  • 修正と改善
  • 最終版の承認
  • 法規制との整合性確認
  1. 教育訓練(1ヶ月)
  • 要員への教育実施
  • 運用テスト
  • フィードバック収集
  • 力量評価の実施
  1. 運用開始(1ヶ月)
  • システムの本格運用
  • モニタリング開始
  • 記録の取得開始
  • 是正・予防処置の運用

総所要期間:約10-12ヶ月

  1. 規格要求事項の理解
    ISO 13485の要求事項の確認: 規格の要求事項を詳細に理解し、自社のプロセスにどのように適用するかを検討します。

ギャップ分析: 現状の品質マネジメントシステムとISO 13485の要求事項とのギャップを分析し、改善点を特定します。

  1. 品質マニュアルの構成の決定
    マニュアルの構成: 品質マニュアルの構成を決定します。一般的にはISO13485規格要求事項の構成に合わせて作成しますが

以下のような項目が含まれます。

品質方針と品質目標

組織の構造と責任

文書管理

リスク管理

設計開発管理

調達管理

製造管理

監視と測定

内部監査

是正処置と予防処置

管理レビュー

  1. 文書の作成
    文書のドラフト作成: 各セクションのドラフトを作成します。既存の文書を活用し、必要に応じて新規作成します。

関連文書の整備: 品質マニュアルに関連する手順書、作業指示書、記録様式などを整備します。

  1. レビューと承認
    内部レビュー: 関連部門によるレビューを実施し、フィードバックを反映します。

承認プロセス: 品質マニュアルの最終版を承認するためのプロセスを確立します。通常、品質保証部門の責任者や経営層が承認を行います。

  1. 教育・訓練
    従業員への教育: 品質マニュアルの内容を従業員に周知し、理解を深めるための教育・訓練を実施します。

継続的な教育: 新規採用者や変更があった場合に、適時教育を実施します。

  1. 発行と運用
    文書の発行: 承認された品質マニュアルを発行し、関係者に配布します。

運用開始: 品質マニュアルに基づいた運用を開始します。

  1. 監査と改善
    内部監査の実施: 定期的に内部監査を実施し、品質マニュアルの遵守状況を確認します。

是正処置と予防処置: 監査結果に基づき、是正処置や予防処置を実施し、継続的な改善を行います。

  1. 管理レビュー
    定期的なレビュー: 経営層による定期的な管理レビューを実施し、品質マネジメントシステムの有効性を評価します。
  2. 更新と改訂
    変更管理: 規制要件や組織の変更に応じて、品質マニュアルを適宜更新・改訂します。

バージョン管理: 文書のバージョン管理を徹底し、最新版が常に使用されるようにします。

  1. 外部認証の準備
    認証機関との調整: ISO 13485の認証を取得する場合、認証機関との調整を行い、審査の準備を進めます。

プレ審査: 必要に応じてプレ審査を実施し、認証審査に備えます。

この計画に従って進めることで、ISO 13485に準拠した品質マニュアルを効果的に作成することができます。